改歳の辰を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げますと共に、檀信徒の皆さまのご健勝とご多幸を心からご祈念申し上げます。
昨年を振り返りますと、令和元年12月頃から新型コロナウイルス感染症が中国武漢で騒がれ始め、あっという間にパンデミックが起きてしまいました。日本では4月に「緊急事態宣言」が発令され一時的には収束したものの、息つく間もなく第二波、第三波が到来し、今もなお急速に感染者や重篤者が上昇しております。現在累計感染者数は9000万人を超え、死者数は193万人を数えます。
今私たちにできることは、気を緩めず、できうる限り感染予防に心掛ける他ありません。
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大晦日の夜 |
コロナの影響は宗教界にも及ぼしています。三密回避による新しい生活様式によって、「通夜葬儀の縮小化」「法事の中止・延期」「参列は最低人数」を余儀なくされ、首都圏に住む子供が親の仏事に参列できないこともございました。いつでも会いに行けると思っていた生活が実はとても稀有なご縁の連続から成り立っていたことが、コロナ禍で改めて気づかされたのです。
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歳末諷経 |
静かな大晦日 |
東日本大震災では未曾有の被害を受けましたが、我々は『絆』というキーワードのもと、日本中が団結し、人的、物的支援により、皆一丸となって復興に取り組みました。被災者が苦しみや悲しみに向き合えたのも、人と人との結びつきがあったからこそです。しかしコロナウイルス感染症はどうでしょう。目に見えないウイルスによる感染を防ぐために互いに距離を取らざるを得ず、地域社会とのつながりが断たれ、「孤独・孤立化」が深刻化してしまいました。コロナ自粛が引き金となって生じる家庭内暴力やうつ病の相談なども増加しているようです。
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お手伝い |
われわれ宗教界にできることはなんでしょうか。
それは人々の不安に寄り添うことだと思います。感染の恐怖から不安と怖れ、他者に対して嫌悪、偏見、差別の方向へと連鎖していかないよう、お釈迦さまの教えを丁寧にお伝えする場を設けることです。門を叩いてくる人たちに心の平安を与えられる宗教者が求められています。
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1月坐禅会の様子 |
最後になりますが、私たちには仏さまのような心「仏性」が備わっています。その仏性を呼び覚まし、正しい知見を持って、他者に思いを馳せて冷静に行動を致しましょう。自分が変われば、必ずそれは周りに伝わるはずです。
本年も何卒ご支援ご助言を賜りますようお願い申し上げます。